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【ネタバレ考察】真・女神転生3:ヒジリがアマラの力で知ったこと

真・女神転生3HDリマスターをコツコツ進めています。
(無印のPS2版はクリア済み。久しぶりの女神転生です。)

出来事

アサクサにて、転輪鼓を調査していたヒジリは、イケブクロから戻ってきた主人公に向かって言います。

「こいつが、アマラの力で、すべてを教えてくれる」

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それまで温厚な協力者であったヒジリの変貌に初見時は驚きました。お前もか……、と。

疑問

ふと、彼が創り変えようとしている対象に「」が含まれていることに気づきました。

他のコトワリを啓こうとする者たちは、あくまで「創世」「自らが理想とする世界の創造」を目的にしています。

  • 氷川(シジマの勢力)は静寂の世界を。
  • 千晶(ヨスガの勢力)は力の国を。
  • 勇(ムスビの勢力)は自己完結の世界を。

彼らは新しく創り出そうとしているものに自分自身を含めていません。みな、自身が人ならざるものに変わっていくことを受け入れてはいますが、あくまで創世へ至るための手段であり、その過程で力を得た故の変身です。己の変身自体を目的とはしていません。

どうしてヒジリは、世界だけでなく「俺」を創り変える対象としているのか?

考察

アマラ深界にて、ヒジリの正体について語られます。

要約すると、以下のとおり。

  • 過去にある罪を犯した魂が、その罰として、幾度と起こる世界の始まりと終わりを記録するために転生を繰り返している(繰り返させられている、といったほうが正しい)。
  • その業(呪い)を背負って生まれたヒジリという人間は、東京受胎時に死亡している。
  • 今の彼は、生前のヒジリの意識を継いだマネカタに過ぎない。

これが真実だとして、

そして、この真実を、転輪鼓を通してヒジリ自身が知ってしまったのだとしたら。

初見プレイ時では「すべてを知った万能感に溺れて狂気に呑まれた」ように映るヒジリの変貌ですが、上記のような背景を踏まえると違う心理が見えてきます。

彼は、己が既に生きている人間ではないことを突き付けられ、また永劫に続く逃れられない運命を知ってしまい、故に、己の魂を救うために創世を目指すことを決意したのだと思います。

マネカタにコトワリは啓けない、その残酷な事実を知ってもなお運命(業)に抗おうとした悲壮な決意が、狂気めいた姿として映ったのだと思いました。

ひとこと

ヒジリ自身はゲーム本編において何も悪いことをしていない*1のに、この仕打ちはあまりにも残酷ですが、これもまた女神転生ですね。

追記(2021/03/31)

アマラ神殿にてヒジリは最期を迎えますが、妙に落ち着いていて諦めがよいです。

これも、もはや挽回できない・勇に勝てない、といった類の諦めではなく、真実を知って自分の命に執着がなくなってしまったようにも見えました。 (勇はヒジリの「こんな世界だ。人の命に大した意味はない。」という言葉を引用しているように、元々ヒジリがそういう価値観で動いていたという解釈もあると思います。)

ヒジリは色んな考察ができていいキャラですね。

*1:ただし、ある程度冷徹ではある。特に勇に対しては必要以上にシビアな姿勢を取っていた